Back←　Okay if I have insist　1/10
　須田　春奈は三沢企業の事務をしている。小さな会社で、事務員は、春奈とおばさんの二人だけ、従業員の後輩達は、華やかに花金の街へと飛び出ていった。
　春奈は頭をペンで掻き、ため息をこぼした。
　雑用もいいところだ。なんだって、余所の部署の接待費の尻合わせをしなきゃいけないのか。と思いつつも、逆らえないでしたがっている自分が情けない。
「眠いよぅ。」
　春奈がこぼしたとき、春奈の携帯電話が鳴った。
「はい？」
「春奈？」
　声はこの間偶然にあった柳瀬　瑞貴からだった。夢を掴み、声優として一躍人気者となっている高校の同級生だ。
「どうしたの？」
「今会社？」
「そう。残業中。」
「そう。」
「何？」
「……。おかしくなりそう。」
「は？」
　春奈は意味不明な言葉を継げた瑞貴の家に向かった。声優が儲からないとはよく言うが、もう少し安全なパートに引っ越せないものかとよく思う。今時、オートロックに住んでないのは、瑞貴ぐらいだろう。
　春奈は瑞貴が運んできた湯気の上がっているカップを見てから切り出した。
「で、どうしたの？」
「それが、ね。」
　瑞貴はまず、先程逢った親切な春奈の会社の春日　彬人について話していたが、どうしても、【靴を履かずにいた】点に置いて首を捻った。
「とりあえず、はじめから言いな。」
「今日、仕事で、ソリストが来たのよ。真壁って言う。」

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