←Back Let's get something to eat.1/10
 春奈は事務室で、電卓を叩いていた。器用に打ち続けている春奈の、机の上に置いてある電話が点滅した。
「はい、三沢企業です。」
「もしもし?」
「はい。どちら様でしょうか?」
「あ、えっと、真壁って言いますが、春日、春日 彬人居ますか? 営業の。」
「少々お待ち下さい。……。今春日は出張で埼玉の方に行っておりますが。急用でなければ言伝を伺いますが。」
「あ、……。どうしようか。いや、チケットを渡すだけなんだけども。」
「あと三十分ほどでお昼になりますので、私が代わりに取りに伺いましょうか?」
「え?」
「真壁さんでしょ? 私、須田と言います。そう、この前瑞貴と一緒にいた。同席して、隣りに居たんですが。覚えてないでしょうね。」
「……。彬人と同じ会社の人。」
「はい。」
「あ、……。じゃぁ、三十分後に、この前の店で。どう?」
「では、お伺いします。」

 春奈は五分ほど早くにその店にやってきた。別に、焦ってきたわけではなく、思いの外昼までに仕上げる仕事が早く片付き、早めに出て来れたのだった。
 春奈はランチを頼んだあとで、駿が店に入ってきて、春奈の前に座った。
「よく覚えてましたね? それとも制服?」
「随分嫌味ですね。」
「瑞貴しか覚えてなかったでしょ? わざと初対面を装っていた時点で、私なんかさっぱりだったのだろうけど。」
 駿は肯定否定もせずにほくそ笑み、足を組んでコーヒーを頼んだ。
「お昼、たべないの?」
「ダイエット。」

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