父と息子、母と息子 鈴鹿の転校が決まり、鈴鹿は麻智のクラスに入った。相変わらず紅葉の嫉妬心は強く、鈴鹿を覆う時さえあるが、鈴鹿は麻智と話さないよう務め、他と楽しく初日そうそう打ち解けたのだった。 「スズちゃんて面白いね。」 「よく、あいつには……、否、友達とかには、変だとかって言われるけどね。」 「そう? 暗いより明るい方がいいわよ。」 鈴鹿は笑って、ふと視線をたどって紅葉を見た。眼があって微笑んだが、紅葉は俯くだけだった。 「ほっといた方がいいわよ。」 「なんで?」 「だって、彼女に睨まれると、なんか不幸になるの。」 「はい?」 「六条さんて、八瀬君が好きなのよ。でも、八瀬君あの顔だし、」 「顔良し、運動良し、勉強良しで、かっこいいし!」 「すごくモテるのよ。」 三人の女子が交代でそれを喋るのに、鈴鹿は圧倒されながら聞いていた。 「そしたら、最初はさ、八瀬君に挨拶した子が、廊下歩いているといきなり窓ガラスが割れて手を怪我してね。」 「ガラスが割れた?」 「そう。その次は、体育中に八瀬君と接触して転倒した子を八瀬君がおぶったら、その子、今度は階段から転けて足骨折したし。」 聞けば聞くほどぞっとしてくる内容に、鈴鹿は笑うだけだった。 |
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