Secret Of Your Heart
一学期の中間テストが終わり、栗栖 愛梨は職員室に呼び出された。
職員室は、ここだけ学校の中とは異質に出来ているのか、煙草の煙が濛々とたち込めていた。
愛梨と、学年―愛梨は二年生だ―クラス委員代表であり、副生徒会長の蓮沼 峻也と二人で、田畑―愛梨のクラス担任―の前に居た。
先日ロイトーグ王国の秘宝展に小林―科学の教師で、学校一人気のある教師―と
デートを目撃されたが、別に一緒に見に行ってどこが悪い? と反対に生徒はどやされ、その話題は沈静化した。
「お前らさ、」
田畑は机に向けていた体を二人のほうに向ける。長い髪を耳にかけ首を傾げて見上げると小声で言った。
「今度この辺りの教育改革向上会ってのがあってさ、近くの幼稚園もしくは、保育園に生徒が数人派遣されるんだよ。見たところ、お前らが適任だと思うんだよね。」
「どう言う基準で? 」
峻也はあきらかに嫌そうに言った。別に目立って素行が悪いわけではない。目立つ行動を取るわけではないが、その日本人離れした【綺麗】な顔立ちと、口の悪さの
ギャップが目立つのだ。成績がよく、運動神経がいいのに、性格が悪いと来ている。人気もそこそこあるのだが、それを一つ一つ取りたてて喜ぶこともしなければ、告白する子する子に、かなり酷いダメージを食らわせる。例えば「あんたみたいなブスとは付き合えない。」とか「性格悪そうじゃ無いか。」とか。
だが、愛梨はそんなこと知らない。ただ、副会長だと言うだけだ。
「基準? お前らが子供嫌いなんじゃないかという基準。」田畑が愛梨の方を見た。「特に、栗栖は。」
「嫌いですよ。」
愛梨はそう言って田畑が差し出した、その【教育改革向上会】のしおりを見た。
それに連なっている文は、中・高生が幼稚園もしくは保育園児と接することで、非行防止に努めると言うものなのだ。
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