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 そんなことで非行といわれるものが無くなれば苦労はしねぇだろう。と田畑も言ったが、愛梨もそう思う。
「どうする? 新聞部部長も同行してそれを取材する。笹山―愛梨のクラスの子で、あすみ―には了承済み。」
「構わないけど、この三人だけ? 」
「あと、三年の二人。あそこに居るだろ? 竹富 和喜。栗栖のために説明すると、あれが噂の生徒会長。で、もう一人のほうが、蓮沼と同じ副会長の桧垣 海和。」
 古文の教師のところで同じ説明を受けている男女を田畑は指差した。
 和喜は、端整な顔立ちに、少し茶色のかかったさらさらストレートの短い髪で、好印象を受ける。同じく、海和も肩にかかりそうな髪は外はねして、微笑した顔はとても[十八]には見えない綺麗さがある。
 愛梨は田畑のほうを見た。古文に説明を受けているのは解る。あの教師は生徒進路部の主任だった。田畑は? たしか、二年生の担当主任だった。よく、この女を主任にしたものだ。  結局、その一週間後から、五人は校区内にある[諏訪保育園]に保父母実習生としていくことになった。
 私服にエプロンをつけた五人は、各クラスに分かれた。
 愛梨は最年少クラス―0歳から2歳までの―チューリップ組担当となった。
 峻也は3歳、モモ組。海和は4歳ユリ組。和喜は5歳バラ組にそれぞれ配置された。
 あすみがげらげらと笑いながらファインダーの中の愛梨を切っていく。
「下品だぞ。」
「だって、愛梨ぃ、あんたってさ、本当に子供嫌いなんだね。抱き方が怖いよ。」
「知るか。何で私がこんな玩具か、生きてるのかすら解らないふにゅふにゅの担当なんだよ。桧垣さんがすればいいのに。好きそうじゃないか。」
 あすみはオムツを変える愛梨を笑いが止まらずに、見つめる。
「母親になる練習よ。」
「母親? 誰が父親になるってんだよ。」
「あの刑事さん? 」

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