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Let's make it another time.1/10
番組収録は四時に終わり、テレビ局を六時には出れた。日は少しだけまだ高く居座り、春が本格的に近いことを物語っていた。
瑞貴は空を見上げて歩き出そうとした腕を掴まれて振り返る。
「飯でも食っていかないか?」
駿の顔を見てすぐ、瑞貴は顔を逸らした。
「春奈を誘ってください。」
駿の手がゆるみ、瑞貴はタクシーを拾い、扉が開いて瑞貴が乗り込むと、扉が閉まる前に駿も乗り込んできた。
「ちょっと!」
「どうせ、前を通るじゃないか。」
「そうだけど。」
「出してください。」
タクシーはゆっくりと出て行く。瑞貴はむっとしながら窓の外を見た。
一切の会話もなく、駿のマンション前に着いた。
タクシーが止まると、そのマンション前に春奈が立っていた。
「春奈……。」
「瑞貴。」
「居たのか。」
同時にそういって瑞貴はすぐに運転手に言った。
「すみません、右の方へ。」
「どこ行くんだよ。」
戸を無理矢理閉めようとする瑞貴の力よりも、駿の手は強く、こじ開けて体を中に入れてきた。
「家に帰るんです。」
「左だろ?」
「いいでしょ、どっちでも。閉めます!」
瑞貴は扉を閉めて、タクシーは二人を残して走り去った。
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